この研究のポイント
頭部にマスキングやモザイクなどを施した学習画像に、観察者の視線分布を組み合わせます。プライバシー保護によって画像の情報が失われる場合でも、人が注目する領域を活用して性別認識を改善します。

概要
人物の写真をコンピュータの学習に使うとき、プライバシーを守るため、頭部を隠したり、モザイクやぼかしを加えたりすることがあります。しかし、画像の情報が減るため、そのまま学習すると性別を分類する精度が下がる場合があります。本研究では、人が画像のどこを見て判断するかを手掛かりに、この問題を改善する方法を調べます。
人は頭部が加工された画像でも、残っている情報から性別を見分けられる場合があります。そこで、歩行者画像を見る観察者の視線を計測し、どの場所に視線が集まるかを調べます。この視線の分布を、コンピュータが性別分類を行う前の画像処理に利用し、人が注目する場所の情報を活用します。
実験では、学習画像の頭部にマスキング、モザイク、ぼかしの各加工を行った条件を調べました。これらの加工をした条件で、視線の情報を利用する提案手法によって性別分類の精度が向上しました。加工で失われた情報を元に戻すのではなく、画像に残る情報の使い方を工夫した研究です。
発表文献
- Michiko Inoue, Masashi Nishiyama, Yoshio Iwai,
Gender Classification using the Gaze Distributions of Observers on Privacy-Protected Training Images, Proceedings of 15th International Joint Conference on Computer Vision, Imaging and Computer Graphics Theory and Applications (VISIGRAPP), Vol. 4: VISAPP, pp. 149 - 156, February 2020. - 井上 路子, 西山 正志, 岩井 儀雄,
プライバシーが保護された訓練画像に対する視線位置分布を用いた性別認識,
精密工学会誌, vol.85 , no.12, pp. 1094 - 1101, December 2019.